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漉き舟は、賞状大判や名刺16枚取りの桁を使っての紙漉きが出来るくらいの小さなサイズです。
馬鍬「まが(まぐわが変化した)」は、原料を撹拌する道具ですが、櫛の羽の部分が左右対称に斜めになっています。
舟の中の水が良く混ざるように工夫改良されたものです。
和紙を漉く道具は「簀」と「桁」です。
工房では、ハガキ・色紙等は「ステンレスメッシュの簀と桁」を、名刺や絵手紙用紙は「竹簀と桁」を使って漉きます。
この「竹簀」は細い竹ひごを専用の絹糸を使って編んであります。
名刺16枚漉きのこの「簀」は約300本、2尺×3尺の広さの和紙を漉く「簀」は2000本前後の竹ひごが使われています。
工房で使う「簀」と「桁」の多くは、高知の山本さんに作っていただきました。
山本さんは、竹ひご作りから「簀」を編み、特殊な金具作りから「桁」も一人で作られます。日本の紙漉きを支える数少ない職人のお一人です。
工房で乾燥の時に使っている紙漉き専用の刷毛です。
白い毛の部分には、摩擦や水に強い馬のたてがみが使われています。
上質なたてがみを細心の注意を払って調合されたこの刷毛は、板に貼り付けるときにほとんど刷毛目が残りません。
この刷毛は岐阜の助川さんに作っていただきました。
助川さんは、長年にわたり紙漉きの刷毛を専門に作っておられる日本で唯一の職人です。
八女市の松尾和紙工房でも数十年来助川さんの刷毛を使っています。
ステンレスの板の下には水が入っています。
その水を電熱線で沸かし蒸気を利用してステンレスの板を熱くします。
その熱で紙を乾燥させます。
天日乾燥が出来ない時や体験教室の時に使っています。
これは、50年ほど前まで八女の松尾和紙工房で実際に使われていたもので、「湯たご」と呼ばれていました。
その頃は、「楮」の基本処理の多くを矢部川で行っていました。
それも冬場の仕事がほとんどでした。
現在のような防寒具がなかった当時、この「湯たご」にお湯を入れ川原に持って行き、手足を温めていたそうです。
少しでも長くお湯が冷めないように隙間のない木蓋がついています。