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職人が精魂を込めてつくる日本の伝統工芸品には、品質・精度・美しさ・使いやすさ、どれをとっても世界に誇れるものがたくさんあります。

それは、使う側の確かな評価があったから、更に良いものへと工夫がなされ、技に磨きがかけられてきたからだとも言えます。

しかし、今私たちの周りには物があふれ、安さを追求するばかりに、職人の熟練した技が必要とされないものへと生活の質が変わってきました。

このままでは、職人技が消えてしまいます。職人が誇りを持って技を発揮し、真の価値で認められることが大切だと思います。

ところで、繊細で温かみのある和紙を作るには、精緻な道具が欠かせません。
全国の紙漉きの里には、この道具づくりに関わる職人さんが少なからずいました。しかし、和紙の需要が激減した現在、この精緻な道具をつくる職人さんは日本全体で数名になってしまいました。

ここでは、手漉き和紙に関係があったりなかったりしますが、これまでにご縁のあった日本の伝統文化を支える方々を紹介させていただきます。

自分の生活を見つめる何かしらの覗き窓のひとつになればと思っています。

西陣爪掻本綴織と竹筬(たけおさ)

竹筬

織工たちは常に長く伸ばした指の爪先(中指とくすり指)にヤスリをあて、のこぎりの歯のように刻んでおき、緯糸を越し終える都度その指先で緯糸を掻き寄せます。

なお通称「筋立て」という櫛で織り固めます。これが「爪掻本綴織」の名称のある所以です。
(文章:西陣小川英「小川英で生まれた爪掻本綴織技の最高峰を求めて」より引用)

西陣織や博多織に代表される日本の手織りは「杼」「綜絖」「筬」という三つの装置と道具が必要です。中でも「竹筬」(写真)は織機の心臓部に使われるもので、西陣爪掻本綴織など高級手織りの職人は精緻な「竹筬」を必要とします。

しかし、10年程前にはこの「竹筬」を編む技術が途絶えてしまいました。なお、現在は関係機関などの取り組みでこの技術が復活されました。

爪掻本綴(有)西陣小川英
http://www.ogawaei.com/

本多木蝋工業所 ~玉締め式でつくる木蝋~

和蝋燭

江戸時代から続く「玉締め式」の製法で木蝋を作るのは全国でも『本多木蝋工業所』だけです。

化学薬品を用いて搾り出す「抽出式」もありますが「良質で手荒れをしない木蝋を存続させてほしい」という手懸け蝋燭の職人さんたちの声に応えています。

純粋な木蝋がなければ、和蝋燭作りは存続しにくいともいわれています。

お相撲さんの髪つけ油にも使用されています。

(文章:島原市ウェッブサイト「島原からのおくりもの」より引用)

「新鮮五感 島原からのおくりもの」
http://www.yokabai-shimabara.com/list/hondamokurou/index.html

阿波木偶箱廻しを復活する会

阿波木偶箱廻し

徳島県の正月儀礼として永く定着した「三番叟まわし」は、三番叟とえびすが「五穀豊穣」、「無病息災」、「家内安全」などを予祝し、新しい年を迎えた人びとに明るい展望と生きる勇気を与えました。

徳島県のみならず、香川県や愛媛県の正月にも無くてはならない文化となりました。

しかし、さまざまな理由により1960年代にはその姿をほとんど見ることができなくなったのです。

阿波木偶箱廻しを復活する会では、この「三番叟まわし」をはじめとする「箱廻し」を復活し、伝承する取り組みを行っています。

「阿波木偶箱廻しを復活する会」
http://www1.kbctv.ne.jp/~ebisu/

和紙を支える職人

助川芳久さん

刷毛職人

岐阜県  助川芳久さん

山本さん

簣・桁職人

高知県  山本忠義さん